今回は、映像化されている過去の作品から、初心者の方にも楽しんで頂けるオススメ作品を《本公演編》としてご紹介いたします。
本公演で上演される作品
宝塚大劇場と東京宝塚劇場で上演されるメインとなる公演のことを、“本公演”または“大劇場公演”と呼びます。
本公演で上演される作品は、大きな舞台を生かした華やかな作品が多くなっています。
本公演の種類を大きく分けると、「ミュージカルとショーの二本立て」と、「ミュージカルのみの一本物」の2種類に分けられます。
作品の種類としては、宝塚オリジナル作品から映画や小説など原作のある作品まで様々。
宝塚で公演される作品は、基本的に主演(トップスター)ありきで制作されます。
オリジナル作品の場合は、トップスターだけでなく組子(各組に所属する生徒たち)についても当て書きされるため、個人の魅力を楽しむことができます。
今回は、宝塚ファンの中でも人気の本公演から、初心者でも楽しめる作品をご紹介いたします。
オススメ作品《本公演編》
『星逢一夜』
『星逢一夜』は、2015年に本公演にて雪組により上演され、2017年に中日劇場にて再演されました。
作・演出は、本作が大劇場デビューとなる上田久美子先生。
郡上一揆をヒントに制作されました。
江戸中期の徳川吉宗の時代に、藩主の子息と身分なき娘の恋、そして絡まる友情を描く涙なしには観られない作品です。
九州の山々に囲まれた三日月藩の藩主の子として生まれた紀之介(早霧せいな)は、櫓に上っては星を見るのが大好きな子供でした。
そこは、かつて百姓一揆があった場所。
はじめは村の子供たちに歓迎されませんでしたが、次第に打ち解け、泉(咲妃みゆ)という娘と心を通わすように。
しかし三日月藩では長男の跡取りが亡くなったため、次男である紀之介がお城へ呼び戻され、名を晴興と改めます。
出世した晴興は将軍の姪との結婚話が進んでいた中、泉と再会しますが、泉もまた幼なじみの源太(望海風斗)との結婚が決まっていました。
更に時は流れ、老中となった晴興は享保の改革を進めるも、庶民の暮らしは一層貧しいものに。
泉と結婚して幸せだった源太でしたが、貧しい暮らしから村を救うため一揆を起こし、晴興と戦う決心をします。
子供の頃は身分など関係なく友情を育めた3人が大人になり、互いを想い続ける晴興と泉、泉に心寄せる源太。
彼らには破滅への運命が待ち受けていました・・・
ポスターの世界観そのままに繊細で美しい舞台、そして日本人が感情移入しやすいストーリー展開なので、宝塚ファン初心者の方にもオススメの公演です。
『ひかりふる路 〜革命家、マクシミリアン・ロベスピエール〜』
『ひかりふる路』は、2017年に本公演にて雪組により上演されました。
作・演出を手掛けたのは、生田大和先生。
舞台はフランス革命が行われた18世紀。
フランス革命の中心人物の一人、マクシミリアン・ロベスピエールの物語です。
フランスの片田舎に生まれたロベスピエール(望海風斗)は、幼くして母親を亡くし、弁護士であった父親も失踪、パリのルイ・ルグラン学院へと預けられます。
同じ道を歩めばいつか父と再会出来るかもしれないという思いを胸に、勉学に励み弁護士となったロベスピエール。
故郷の人々の平穏な暮らしを守る事が使命だと感じ、政治家に転身します。
パリで革命に身を投じる事になったロベスピエールはジャコバン派に属し、時を経て革命の指導者に。
フランスは共和国となり、1793年に国王ルイ16世が処刑。
フランスを新しい時代へと導いたロベスピエールに人々は熱狂し、“革命そのもの”と称されるようになります。
その一方で、人生を狂わされた革命の犠牲者も少なくなく、貴族に生まれたが故に家族や恋人を奪われたマリー=アンヌ(真彩希帆)。
マリー=アンヌは革命に復讐心を持ち、ロベスピエールを暗殺するという目的を持つように。
しかしロベスピエールと出会い、彼が掲げる「自由・平等・博愛」に込められた思いを通して、彼に惹かれるようになります。
ロベスピエールもまた、マリー=アンヌに惹かれて行きました。
志を一つに立ち上がった仲間達との絆、そして時代に翻弄され破滅への路を辿っていく、ロベスピエールに焦点を当てたストーリー。
楽曲には世界で活躍する作曲家のフランク・ワイルドホーン氏を迎え、全曲書き下ろしという贅沢なオリジナル作品となっています。
『神々の土地』
『神々の土地』は、2017年に本公演にて宙組により上演されました。
作・演出を手掛けたのは、上田久美子先生。
1916年ロシアのペトログラードを舞台に、ロシア革命前夜のロマノフ王朝の皇族たちをドラマチックに描いた作品です。
皇帝ニコライ二世の従弟で有能な軍人ドミトリー(朝夏まなと)は、皇帝一家の身辺を護るためペトログラードへの転任を命じられます。
ペトログラード行きを躊躇うドミトリーに、皇后の妹で故セルゲイ大公の妃・イリナ(伶美うらら)からも、皇帝一家の相談相手となり事態を好転させてほしいという願いが。
イリナの許で過ごしてきたドミトリーにはイリナへの秘めた想いがあったため、彼女の願いを聞き入れます。
しかしペトログラードでは、ラスプーチン(愛月ひかる)という名の怪僧が皇后に取り入り、政を思うままに操っていました。
一方、青年貴族フェリックス・ユスポフ(真風涼帆)を中心とする一部の貴族たちは、ラスプーチンを暗殺し、ニコライ二世に代わりドミトリーを皇帝に据えるという大胆なクーデター計画が。
冬のロシアの凍るような空気を感じられるような情景と、重厚で豪華な宮殿内で繰り広げられる人間模様、そして儚い大人の恋愛を描いた物語。
お芝居での使用は珍しい大階段を生かした豪華な場面やきらびやかな衣装、余韻を残すラストシーンは何度も観たくなるほど心に残る美しい名場面となっています。
“美しいものを見ることには価値がある”
公演中に話題となったこの台詞のとおり、“美しいものを見る”という感動を体感して頂きたい作品です。
『シャーロック・ホームズ -The Game Is Afoot!-』
『シャーロック・ホームズ』は、2021年に本公演にて宙組により上演されました。
作・演出を手掛けたのは生田大和先生。
19世紀後半に活躍したイギリスの小説家コナン・ドイルが生み出した、稀代の名探偵シャーロック・ホームズ。
「シャーロック・ホームズ・シリーズ」は、幾度も映画やテレビドラマ化されて来ましたが、宝塚歌劇による初のミュージカル化となりました。
19世紀末のロンドンで実際に起きた、真相不明の連続殺人事件「切り裂きジャック事件」。
もし、この事件をシャーロック・ホームズ(真風涼帆)が解決へ導くなら…という想定を元に描かれています。
ホームズが唯一愛した女性として、オペラ歌手のアイリーン・アドラー(潤花)との出会いも。
更には、事件に関わる中心人物でロンドンで起こる犯罪の黒幕として、高い知的能力をもった元数学教授ジェームズ・モリアーティ(芹香斗亜)。
モリアーティを追い詰めるホームズとの直接対決は、シリーズ「最後の事件」に描かれた場面となっています。
その他ホームズシリーズには欠かせないキャラクターたちも登場し、それぞれが原作に忠実に再現されました。
そのため、シャーロック・ホームズ愛好家の方々(シャーロキアン)にも評判を得ていたようです。
『元禄バロックロック』
『元禄バロックロック』は、2022年に本公演にて花組により上演されました。
作・演出を手掛けたのは、本作にて大劇場デビューとなった谷貴矢先生。
元禄時代の忠臣蔵を題材に、愛とファンタジー要素を加えたタイムリープ作品です。
舞台は、“エド”と呼ばれる国際都市。
元赤穂藩藩士で時計職人のクロノスケ(柚香光)は、貧しいながらもエドで穏やかに暮らしていました。
ところがある日、“時を戻せすことができる時計”を偶然にも発明してしまったことから人生が一変。
時計を利用して時を操り、博打で大儲けして大金を手に入れたことにより、すっかり人が変わってしまいます。
しかし、なぜか女性関係だけは上手くいきません。
そんな様子を見ながら微笑むのは、賭場「ラッキーこいこい」の主であるキラ(星風まどか)という女性。
クロノスケはキラの美しい魅力に取りつかれ、惹かれて行きます。
一方で、元赤穂藩家老であるクラノスケ(永久輝せあ)が、クロノスケの元を訪ねてきます。
クラノスケの頼みは、コウズケノスケ(水美舞斗)を切りつけたことにより切腹を命じられた、主君で天才的な時計の研究者・タクミノカミ(聖乃あすか)の仇を討つために協力してほしいというものでした。
悩むクロノスケにクラノスケは、コウズケノスケにはキラという娘がいることを明かします。
果たして、ミステリアスな美女・キラがクロノスケの目の前に現れた理由とは・・・?
舞台上の大きな時計や、カラフルで華やかな和服の衣装なども楽しめる、ショーのような作品となっています。
『今夜、ロマンス劇場で』
『今夜、ロマンス劇場で』は、2022年に本公演にて月組により上演されました。
2018年に公開された大ヒット映画「今夜、ロマンス劇場で」の、宝塚歌劇による初のミュージカル化となります。
宝塚版として脚本・演出を手掛けたのは、小柳奈穂子先生です。
多くの観客を魅了したファンタジックな世界観をそのままに、ロマンチックで切ないラブストーリー。
映画監督を夢見る牧野健司(月城かなと)は、映画館“ロマンス劇場”に毎日のように通っていました。
その目的は、古いモノクロ映画に登場するお姫様・美雪(海乃美月)に想いを寄せているため。
そんなある日、健司がいつものように映画を観ていると、突然スクリーンを飛び出してきた美雪が健司の目の前に現れます。
その日から二人は、同じ屋根の下で暮らすことに。
モノクロの世界しか知らない美雪に、現実の世界を案内する健司。
共に過ごすうちに、二人は次第に惹かれ合って行きます。
しかし、美雪は現実の世界に来ることの代償として、とある秘密を抱えていました・・・
ラストに向けて、涙なしには見られない切ない物語が展開されていきます。
映画でお馴染みの映画俳優・俊藤龍之介(鳳月杏)や、健司に思いを寄せる成瀬塔子(彩みちる)も登場します。
そのほか宝塚版のみのキャラクターも登場し、ロマンチックで美しい世界観が浮き出てきたような感覚を味わえるのではと思います。
映画ファンの方も、まだ見たことがない方にもオススメの作品です。
まとめ
宝塚大劇場と東京宝塚劇場で上演されるメインとなる公演のことを、“本公演”または“大劇場公演”と呼びます。
本公演で上演される作品は、大きな舞台を生かした華やかな作品が多くなっています。
作品の種類としては、宝塚オリジナル作品から映画や小説など原作のある作品まで様々。
今回は、宝塚ファンの中でも人気の本公演作品から、初心者でも楽しめる作品をご紹介しました。
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