【初心者向け】宝塚歌劇団 2番手とは?

宝塚歌劇団 2番手とは? 宝塚歌劇の基本

宝塚の舞台でトップスターの次に活躍する男役のことを、“2番手”と呼びます。

2番手ということは、次にトップスターになれるの?

2番手からトップスターになる人もいれば、トップスターにならずに退団する人もいます。

“2番手”はトップスターとは違い、宝塚歌劇団が正式に提示している役職ではありません。

トップスターになる2番手とそうでない2番手がいるなど、少々複雑な立場となり、ファンの中で物議を醸すことも。

今回は“2番手”について、役割や“正2番手”と“別格2番手”の違い、現在の各組2番手の立ち位置などについてご紹介いたします!

2番手スターとは?

トップスターの次に活躍する男役のことを“2番手スター”と呼び、宝塚ファンからは“2番手”と呼ばれています。
トップスターの次に豪華な衣装を着ている男役、と言うと分かりやすいかもしれませんね。

宝塚歌劇団がトップスター候補として育成するための「スターシステム」に則ると、(通常は)トップスターという立場を引継ぐのは2番手の男役となります。
そのため、2番手は“次期トップスターに1番近い人物”ということなります。

【スターシステム】については、コチラの記事でご紹介しています。

以前は、2番手になったらトップスターになれるという流れが通例でした。
しかし昨今ではその限りではなく、トップスターにならずに2番手で退団していく場合も少なくありません。
一言で2番手と言っても、トップスターになることが保証されている立場ではないということになります。

なお、娘役については、トップ娘役の次に出番の多い娘役のことを“娘役2番手”と呼ぶこともありますが、あまり多くはありません。

今回は、2番手の役割・種類・期間・退団などについてご紹介いたします。
現在の各組2番手もご紹介いたしますのでお楽しみに!

 

2番手の役割

“2番手”の舞台での役割としては、お芝居では主役に対峙する悪役主役の親友役を演じることが多いです。
ショーではトップスターと対になって踊ったり、フィナーレの群舞でトップスターが捌けた後に中心に立って踊ったりします。

一本物のフィナーレで銀橋を渡りながら歌う“歌唱指導”と呼ばれる場面を担当するのも、基本的には2番手の役割です。
(フィナーレの構成により、3番手以下が務める場合もあります。) 

初めて宝塚歌劇の舞台を観る場合、お芝居の役柄によっては分かりづらいかもしれません。
ショーではトップスターの次に華やかな衣装を着ているため、すぐに見分けることができるかと思います。
更には、トップスターの技術面や精神面での支えとなる立場でもあります。

トップスターになると、いわゆる王子様役やヒーロー役が多くなり役の幅が狭くなります。
そのため2番手時代に悪役などの濃い役柄を経験し、トップスターの元で組のトップや男役としての在り方などを勉強できる重要な時期となります。

2番手時代を十分に充実させることにより、トップスターへ就任する前の準備期間となる役割も持ち合わせています。

 

代表的な役柄

ここで、主に2番手が務める代表的な役柄をご紹介いたしましょう。

このように主役に絡む悪役や親友役など、作品になくてはならない重要な役柄を演じることが2番手の役割でもあります。

2番手の種類

2番手は、シンプルに言えば“トップスターの次に目立つ男役”のこと。
公演の最後の“パレード”と呼ばれる全員が大階段を降りてくる場面は番手が分かりやすい場面ですが、トップ娘役の前に降りてくる人が2番手です。

2番手という立場は劇団が正式に提示している役職ではないため、これまでの事例や様々な判断材料を以てファンが呼んでいる呼び名ということになります。

実は2番手の中でも、立場の異なる種類があります。
次の項目では“正2番手”と“別格2番手”について、それぞれご紹介いたします。

正2番手

“正2番手”は、一言で言うと“トップスターに最も近い人物”のことを指します。
正2番手であることを判断する大きな材料としては、下記の項目に当てはまる人物となります。

正2番手となる判断材料
  • バウ公演の主演
  • 東上公演の主演
  • 月刊誌(歌劇・グラフ)の表紙
  • 公演ポスターの写真の大きさや位置
  • スターカレンダーに掲載(トップスター・トップ娘役・2番手・3番手)
  • パーソナルカレンダーに掲載(トップスター・正2番手)
  • パレードの階段降りで2番手羽根を背負う

これらの項目をすべて揃えていて、尚かつ最終的に“正2番手”であることが(ファンの中で)確定されるのは、パレードで“2番手羽根”を背負って大階段を降りてきた時になります。
2番手羽根は、トップスターの次に大きな大羽根です。

しかし2番手羽根を背負って大階段を降りてきたとしても、トップスターになることが見えている“正2番手”とそうではない“別格2番手”が存在します。
“別格2番手”については、次の項目でご紹介いたします。

別格2番手(上級生2番手)

2番手は本来、次期トップスター候補であるとファンは認識しがちです。
しかし厳密には劇団が提示している役職ではないため、2番手だったとしてもトップスターにならずに退団していく場合もあります。
トップスターにならない2番手のことを、“別格2番手”または“2番目”、トップスターより上級生である場合には“上級生2番手”と呼ばれることもあります。

 

実は、正2番手としての最終的な判断材料であるはずの“2番手羽根を背負った”という見た目だけでは、正2番手との見分けが付きません。
そのため、その生徒のそれまでの経験や前例などから推測するしかないようです。

しかし、それを推測するには宝塚ファンを長年続けていたとしても中々難しいこと。
次期トップスター候補としての正2番手だと期待していたのに2番手で退団を発表された際には、ファンの中で大変な物議を醸すことが度々あります。
過去に初めてそのような対応がなされた際には劇団が大きな非難を浴びたようです。
そうした経験を以て、そういうこともあるのだということをファンも理解していったようです。

 

最近の例としては、下記の3名が正2番手となった後、2番手のまま退団しました。
3名の共通点としては、トップスターが下級生であったこと、スター路線から外れていたこと等から、下級生であるトップスターを支えるという意味も含む“上級生2番手”と呼ばれる立場でした。

  • 美弥るりか(元月組2番手スター) 2019年6月9日付けで退団
  • 瀬戸かずや(元花組2番手スター) 2021年7月4日付けで退団
  • 愛月ひかる(元星組2番手スター) 2021年12月26日付けで退団

過去には“上級生2番手”がトップスターになったという事例もありますが、別組への組替えによる落下傘という形でのトップスター就任となったため例外となるでしょう。

ファン心としては、たとえ“上級生2番手”だったとしても、2番手羽根を背負ったからには期待してしまうものなんですよね…。
しかし、前例があったとしても時代により組内の状況は異なるため、2番手羽根が大きな判断材料にはならないのが宝塚の人事です。

 

また、宝塚歌劇は「スターシステム」による人材育成を行っているため、元々路線ではないまたはスター路線から外れた時点でトップスターへの道は厳しくなります。
更には、誰をどこの組のトップスターにするかなど、大きなスケジュールは数年前から調整されているようなので、特に研10を超えてからの切り返しは難しくなるようです。

 

2番手の期間

2番手としての期間は、約2〜3年程度が多いようです。
2番手に就任するタイミングとしては、新トップスターが就任すると同時に2番手となる場合がほとんどです。
“2番手期間は長い方が良いトップスターになる”と言われているほど、とても重要な期間となります。

現在の2番手の最長は現宙組2番手スターの芹香 斗亜せりか とあさんですが、2023年6月12日付けで宙組トップスター就任が決定しています!

芹香斗亜さんは、2007年に93期生として宝塚歌劇団に入団し星組に配属、2012年4月2日付で花組へと組替えし、研9になる年の2015年3月に2番手スターに就任しました。
更には研11の2017年10月30日付で宙組へ組替えとなり、引き続き2番手を務めたため、研17となる2023年3月で9年目となります。

2度の組替えは特別珍しいことではありませんが、2番手として2つの組を経験するというのはあまり無いことのようです。
2番手を長く務めてきたことで生まれる余裕や色気が深まり、トップスター就任を前に誰よりも充実した2番手期を迎えています。

2番手退団

正2番手となった後、トップスターにならずに退団することを“2番手退団”と言います。
“2番手羽根を背負えばトップスターになれる”というのは通例ではないのですが、ファンの中にはトップスターになることへの期待を裏切られてしまったという思いから“2番手切り”と言う人も。
過去の事例などから、「これだけトップになれるカードが揃っていたのに劇団はトップにさせなかった」という法則を探したくなるのが、一種のファン心なのかもしれません…。

しかし、あくまでも退団を決意するのは生徒自身です。
元々トップスターに就任する予定だったかどうか、生徒自身がトップスターを目指していたかどうかは分からないため、2番手切りという言い方はあまり良くないとされています。

特にファンの間に衝撃が走った記憶が新しいのは、元月組2番手スター美弥るりかさんの退団。
退団後となる2020年3月『CREA』の記事に、2番手時代の葛藤トップスターに期待するファンへの思いなどについて語られていました。

りょうちゃん(珠城)がトップとしてスタートするときに、「自分がいることで彼女が負担にならないかな」とか、「月組のみんなはどう思うのかな」といったことを考えて、辞めるべきかどうかすごく悩みました。

(略)

――「美弥さんにトップスターになって欲しい。羽根を背負った姿を見たい」という方もたくさんいらしたと思うのですが?

(略)

「トップになりたいと思わなきゃダメだ」と思った時期もありましたが、それはもしかすると、自分に思わせていたという感じだったのかも知れません。応援してくださる皆さんのお気持ちは本当にすごく嬉しかったです。でも、今はこれで良かったと思っています。

引用元:https://crea.bunshun.jp/articles/-/25613?page=4

羽根を背負って欲しいというファンの気持ちも考え、決してご本人の思いだけで舞台に立っているわけではないということですよね…。
トップスター同様に2番手という立場も誰もがなれる立場ではないので、2番手として大活躍されたことは素晴らしいことだと思います。

サヨナラショー

前楽と千秋楽の本公演後に、『サヨナラショー』という20〜30分程度のショーが上演されることがあります。
サヨナラショーは、特にこれまで宝塚歌劇団や組に大きく貢献してきた生徒に与えられるハナムケのようなもの。
サヨナラショーが行われるのは基本的にはトップスターとトップ娘役の退団時ですが、2番手の退団時にも上演されます。

最近2番手で退団となった生徒でサヨナラショーを行ったのは、元月組2番手スターの美弥るりかさんと、元星組2番手スターの愛月ひかるさん。
元花組2番手スターの瀬戸かずやさんは元トップ娘役の華優希さんと同時退団となったため、内容的には華優希さんのサヨナラショーと同時に行われた形となりました。
通常のサヨナラショー同様に、舞台の真ん中でトップスターのように輝く場面や、これまでの貢献への敬意と男役の集大成となる素敵なショーとなりました。

各組の2番手と組内での立ち位置(2023年7月現在)

各組の2番手スターについて、現在の組内での立ち位置などをご紹介いたします。
記事内容の性質上、ファンの中での推測や私自身の憶測も含まれてしまいますが、どうかご容赦いただければと思います。

花組:永久輝 せあさん

永久輝 とわき せあさんは97期で、現花組トップスターの柚香ゆずか れいさんは95期となります。
それまで花組の2番手だった水美舞斗さんの専科への移動に伴い、2023年7月の花組公演 『鴛鴦歌合戦 / GRAND MIRAGE!』より2番手羽根を背負いました。
このまま柚香光さんの後を継いで、花組のトップスターになるのではないかと言われています。

また、永久輝せあさんは“VISAガール“”と呼ばれる、三井住友VISAカードのイメージキャラクターを務めています。
過去にVISAガールを務めた方は全員トップスターになっているため、近いうちにトップスターになる確率が1番高い2番手と言えるでしょう。

雪組から花組に組み替えしてから、グングンと男役度を上げているひとこちゃん!

2番手羽根を背負い、トップスターへの道が一気に近づいてきた感じがしています。

月組:鳳月 杏さん

鳳月ほうづき あんさんは92期で、現月組トップスターの月城つきしろ かなとさんは95期となります。
月城 かなとさんよりも上級生のため、2番手羽根を背負ってはいますが“上級生2番手”ということになるかと思います。

月組内でトップスターに近い候補の一人は、風間かざま 柚乃ゆのさん(100期)です。
しかし風間 柚乃さんは月城 かなとさんより5期下のため、風間 柚乃さんの今後の成長速度や月城 かなとさんの退団時期などにより変動があるかもしれません。
鳳月 杏さんは、短期で務める可能性もなくは無いかもしれない…と言ったところになるようです。

男役のプロと言っても過言ではないほど“宝塚の男役”を熟知し極めているスターなので、どのような形であっても長く宝塚にいて欲しいと強く願っています!

雪組:朝美 絢さん

朝美あさみ じゅんさんは95期で、現雪組トップスターの彩風あやかぜ 咲奈さきなさんは93期となります。
2番手羽根も背負っており、順当に行けば次期トップスター候補ではないかと言われています。

これまでの過程では、いわゆる“路線スター”という扱いではなかったように思います。
しかし月組から雪組への組替え後に、実力も人気も爆発的に伸ばして行き、現在の“正2番手”という地位を勝ち取ったという印象です。

一つ気になるのは、朝美 絢さんの95期は既にトップスターに3人就任し、トップ娘役も3人就任しているという点。
71期から4人がトップスターに就任したのを最後に、同じ期から3人以上のトップスターを就任させていないため少し気になる要素ではあります。

努力の上に重ね続けてきた歌・芝居・ダンス共に実力があり、とても人気のあるスターなので、真ん中に立つことを熱望しています!

星組:瀬央 ゆりあさん

瀬央せお ゆりあさんは95期で、現星組トップスターである礼 真琴さんの同期となります。
いわゆる“路線スター”という扱いではありませんでしたが、バウ主演・東上主演と経験する中で実力を付けてきました。
現星組では、星組の御曹司である礼 真琴さんを十分に支えるだけでなく、自らも光り輝くスターとして活躍中です。

しかし、まだ2番手羽根を背負っていないことに加え、カレンダーや月刊誌での扱いがやや微妙なため、“正2番手”という扱いではないようです。
更には、月組からトップスター候補であるあかつき 千星ちせいさん(98期)が2022年5月27日付で星組に異動となったため、今後の行方が気になるところです。

公演の度に男役の色気が深まっており、人徳もある素晴らしい人間性を持っているので、良い立場でいつまでも活躍し続けていて欲しいです!

宙組:桜木 みなとさん

桜木 みなとさんは95期で、現宙組トップスターの芹香せりか 斗亜とあさんは92期となります。
2番手に就任して大劇場公演を迎えていないため2番手羽根はまだですが、順当に行けば次期トップスター候補ではないかと言われています。
桜木みなとさんが宙組トップスターに就任した場合、初めての宙組生え抜きトップスターとなるため、宝塚ファンから多くの期待を寄せられています。

しかし、2023年6月に芹香斗亜さんがトップスターに就任したばかりのため、まずは2番手としての経験をこれから積んでいく段階となります。
宙組に決して欠かせない男役スターとして、着実に足跡を残してきた桜木みなとさんの今後の活躍に期待しましょう!

下級生の頃から常に大きな存在感を示してきたずんちゃん。

これから2番手として様々な役柄に挑戦していきながら、さらなる魅力を発揮されるのが楽しみでなりません✨

まとめ

今回は、“2番手”についてご紹介いたしました。
通常2番手は“次期トップスターに1番近い人物”という立場ですが、トップスターとは違い宝塚歌劇団が正式に提示している役職ではありません。
そのため、トップスターにならずに2番手で退団していく場合も少なくありません。

2番手には、トップスターになる2番手(正2番手)とそうでない2番手(別格2番手・上級生2番手)が存在しています。
2番手の役割としては、お芝居で悪役や主役の親友などの重要な役を演じるだけでなく、トップスターの技術面や精神面での支えとなる立場でもあります。

トップスターにならずに“2番手退団”となる場合もありますが、あくまでも退団を決意するのは生徒自身
2番手という立場は誰もがなれる立場ではないため、2番手として活躍できることは素晴らしいことなのです。

 

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【初心者向け】宝塚歌劇団 2番手とは?

宝塚歌劇団 2番手とは? 宝塚歌劇の基本

宝塚の舞台でトップスターの次に活躍する男役のことを、“2番手”と呼びます。

2番手ということは、次にトップスターになれるの?

2番手からトップスターになる人もいれば、トップスターにならずに退団する人もいます。

“2番手”はトップスターとは違い、宝塚歌劇団が正式に提示している役職ではありません。

トップスターになる2番手とそうでない2番手がいるなど、少々複雑な立場となり、ファンの中で物議を醸すことも。

今回は“2番手”について、役割や“正2番手”と“別格2番手”の違い、現在の各組2番手の立ち位置などについてご紹介いたします!

2番手スターとは?

トップスターの次に活躍する男役のことを“2番手スター”と呼び、宝塚ファンからは“2番手”と呼ばれています。
トップスターの次に豪華な衣装を着ている男役、と言うと分かりやすいかもしれませんね。

宝塚歌劇団がトップスター候補として育成するための「スターシステム」に則ると、(通常は)トップスターという立場を引継ぐのは2番手の男役となります。
そのため、2番手は“次期トップスターに1番近い人物”ということなります。

【スターシステム】については、コチラの記事でご紹介しています。

以前は、2番手になったらトップスターになれるという流れが通例でした。
しかし昨今ではその限りではなく、トップスターにならずに2番手で退団していく場合も少なくありません。
一言で2番手と言っても、トップスターになることが保証されている立場ではないということになります。

なお、娘役については、トップ娘役の次に出番の多い娘役のことを“娘役2番手”と呼ぶこともありますが、あまり多くはありません。

今回は、2番手の役割・種類・期間・退団などについてご紹介いたします。
現在の各組2番手もご紹介いたしますのでお楽しみに!

 

2番手の役割

“2番手”の舞台での役割としては、お芝居では主役に対峙する悪役主役の親友役を演じることが多いです。
ショーではトップスターと対になって踊ったり、フィナーレの群舞でトップスターが捌けた後に中心に立って踊ったりします。

一本物のフィナーレで銀橋を渡りながら歌う“歌唱指導”と呼ばれる場面を担当するのも、基本的には2番手の役割です。
(フィナーレの構成により、3番手以下が務める場合もあります。) 

初めて宝塚歌劇の舞台を観る場合、お芝居の役柄によっては分かりづらいかもしれません。
ショーではトップスターの次に華やかな衣装を着ているため、すぐに見分けることができるかと思います。
更には、トップスターの技術面や精神面での支えとなる立場でもあります。

トップスターになると、いわゆる王子様役やヒーロー役が多くなり役の幅が狭くなります。
そのため2番手時代に悪役などの濃い役柄を経験し、トップスターの元で組のトップや男役としての在り方などを勉強できる重要な時期となります。

2番手時代を十分に充実させることにより、トップスターへ就任する前の準備期間となる役割も持ち合わせています。

 

代表的な役柄

ここで、主に2番手が務める代表的な役柄をご紹介いたしましょう。

このように主役に絡む悪役や親友役など、作品になくてはならない重要な役柄を演じることが2番手の役割でもあります。

2番手の種類

2番手は、シンプルに言えば“トップスターの次に目立つ男役”のこと。
公演の最後の“パレード”と呼ばれる全員が大階段を降りてくる場面は番手が分かりやすい場面ですが、トップ娘役の前に降りてくる人が2番手です。

2番手という立場は劇団が正式に提示している役職ではないため、これまでの事例や様々な判断材料を以てファンが呼んでいる呼び名ということになります。

実は2番手の中でも、立場の異なる種類があります。
次の項目では“正2番手”と“別格2番手”について、それぞれご紹介いたします。

正2番手

“正2番手”は、一言で言うと“トップスターに最も近い人物”のことを指します。
正2番手であることを判断する大きな材料としては、下記の項目に当てはまる人物となります。

正2番手となる判断材料
  • バウ公演の主演
  • 東上公演の主演
  • 月刊誌(歌劇・グラフ)の表紙
  • 公演ポスターの写真の大きさや位置
  • スターカレンダーに掲載(トップスター・トップ娘役・2番手・3番手)
  • パーソナルカレンダーに掲載(トップスター・正2番手)
  • パレードの階段降りで2番手羽根を背負う

これらの項目をすべて揃えていて、尚かつ最終的に“正2番手”であることが(ファンの中で)確定されるのは、パレードで“2番手羽根”を背負って大階段を降りてきた時になります。
2番手羽根は、トップスターの次に大きな大羽根です。

しかし2番手羽根を背負って大階段を降りてきたとしても、トップスターになることが見えている“正2番手”とそうではない“別格2番手”が存在します。
“別格2番手”については、次の項目でご紹介いたします。

別格2番手(上級生2番手)

2番手は本来、次期トップスター候補であるとファンは認識しがちです。
しかし厳密には劇団が提示している役職ではないため、2番手だったとしてもトップスターにならずに退団していく場合もあります。
トップスターにならない2番手のことを、“別格2番手”または“2番目”、トップスターより上級生である場合には“上級生2番手”と呼ばれることもあります。

 

実は、正2番手としての最終的な判断材料であるはずの“2番手羽根を背負った”という見た目だけでは、正2番手との見分けが付きません。
そのため、その生徒のそれまでの経験や前例などから推測するしかないようです。

しかし、それを推測するには宝塚ファンを長年続けていたとしても中々難しいこと。
次期トップスター候補としての正2番手だと期待していたのに2番手で退団を発表された際には、ファンの中で大変な物議を醸すことが度々あります。
過去に初めてそのような対応がなされた際には劇団が大きな非難を浴びたようです。
そうした経験を以て、そういうこともあるのだということをファンも理解していったようです。

 

最近の例としては、下記の3名が正2番手となった後、2番手のまま退団しました。
3名の共通点としては、トップスターが下級生であったこと、スター路線から外れていたこと等から、下級生であるトップスターを支えるという意味も含む“上級生2番手”と呼ばれる立場でした。

  • 美弥るりか(元月組2番手スター) 2019年6月9日付けで退団
  • 瀬戸かずや(元花組2番手スター) 2021年7月4日付けで退団
  • 愛月ひかる(元星組2番手スター) 2021年12月26日付けで退団

過去には“上級生2番手”がトップスターになったという事例もありますが、別組への組替えによる落下傘という形でのトップスター就任となったため例外となるでしょう。

ファン心としては、たとえ“上級生2番手”だったとしても、2番手羽根を背負ったからには期待してしまうものなんですよね…。
しかし、前例があったとしても時代により組内の状況は異なるため、2番手羽根が大きな判断材料にはならないのが宝塚の人事です。

 

また、宝塚歌劇は「スターシステム」による人材育成を行っているため、元々路線ではないまたはスター路線から外れた時点でトップスターへの道は厳しくなります。
更には、誰をどこの組のトップスターにするかなど、大きなスケジュールは数年前から調整されているようなので、特に研10を超えてからの切り返しは難しくなるようです。

 

2番手の期間

2番手としての期間は、約2〜3年程度が多いようです。
2番手に就任するタイミングとしては、新トップスターが就任すると同時に2番手となる場合がほとんどです。
“2番手期間は長い方が良いトップスターになる”と言われているほど、とても重要な期間となります。

現在の2番手の最長は現宙組2番手スターの芹香 斗亜せりか とあさんですが、2023年6月12日付けで宙組トップスター就任が決定しています!

芹香斗亜さんは、2007年に93期生として宝塚歌劇団に入団し星組に配属、2012年4月2日付で花組へと組替えし、研9になる年の2015年3月に2番手スターに就任しました。
更には研11の2017年10月30日付で宙組へ組替えとなり、引き続き2番手を務めたため、研17となる2023年3月で9年目となります。

2度の組替えは特別珍しいことではありませんが、2番手として2つの組を経験するというのはあまり無いことのようです。
2番手を長く務めてきたことで生まれる余裕や色気が深まり、トップスター就任を前に誰よりも充実した2番手期を迎えています。

2番手退団

正2番手となった後、トップスターにならずに退団することを“2番手退団”と言います。
“2番手羽根を背負えばトップスターになれる”というのは通例ではないのですが、ファンの中にはトップスターになることへの期待を裏切られてしまったという思いから“2番手切り”と言う人も。
過去の事例などから、「これだけトップになれるカードが揃っていたのに劇団はトップにさせなかった」という法則を探したくなるのが、一種のファン心なのかもしれません…。

しかし、あくまでも退団を決意するのは生徒自身です。
元々トップスターに就任する予定だったかどうか、生徒自身がトップスターを目指していたかどうかは分からないため、2番手切りという言い方はあまり良くないとされています。

特にファンの間に衝撃が走った記憶が新しいのは、元月組2番手スター美弥るりかさんの退団。
退団後となる2020年3月『CREA』の記事に、2番手時代の葛藤トップスターに期待するファンへの思いなどについて語られていました。

りょうちゃん(珠城)がトップとしてスタートするときに、「自分がいることで彼女が負担にならないかな」とか、「月組のみんなはどう思うのかな」といったことを考えて、辞めるべきかどうかすごく悩みました。

(略)

――「美弥さんにトップスターになって欲しい。羽根を背負った姿を見たい」という方もたくさんいらしたと思うのですが?

(略)

「トップになりたいと思わなきゃダメだ」と思った時期もありましたが、それはもしかすると、自分に思わせていたという感じだったのかも知れません。応援してくださる皆さんのお気持ちは本当にすごく嬉しかったです。でも、今はこれで良かったと思っています。

引用元:https://crea.bunshun.jp/articles/-/25613?page=4

羽根を背負って欲しいというファンの気持ちも考え、決してご本人の思いだけで舞台に立っているわけではないということですよね…。
トップスター同様に2番手という立場も誰もがなれる立場ではないので、2番手として大活躍されたことは素晴らしいことだと思います。

サヨナラショー

前楽と千秋楽の本公演後に、『サヨナラショー』という20〜30分程度のショーが上演されることがあります。
サヨナラショーは、特にこれまで宝塚歌劇団や組に大きく貢献してきた生徒に与えられるハナムケのようなもの。
サヨナラショーが行われるのは基本的にはトップスターとトップ娘役の退団時ですが、2番手の退団時にも上演されます。

最近2番手で退団となった生徒でサヨナラショーを行ったのは、元月組2番手スターの美弥るりかさんと、元星組2番手スターの愛月ひかるさん。
元花組2番手スターの瀬戸かずやさんは元トップ娘役の華優希さんと同時退団となったため、内容的には華優希さんのサヨナラショーと同時に行われた形となりました。
通常のサヨナラショー同様に、舞台の真ん中でトップスターのように輝く場面や、これまでの貢献への敬意と男役の集大成となる素敵なショーとなりました。

各組の2番手と組内での立ち位置(2023年7月現在)

各組の2番手スターについて、現在の組内での立ち位置などをご紹介いたします。
記事内容の性質上、ファンの中での推測や私自身の憶測も含まれてしまいますが、どうかご容赦いただければと思います。

花組:永久輝 せあさん

永久輝 とわき せあさんは97期で、現花組トップスターの柚香ゆずか れいさんは95期となります。
それまで花組の2番手だった水美舞斗さんの専科への移動に伴い、2023年7月の花組公演 『鴛鴦歌合戦 / GRAND MIRAGE!』より2番手羽根を背負いました。
このまま柚香光さんの後を継いで、花組のトップスターになるのではないかと言われています。

また、永久輝せあさんは“VISAガール“”と呼ばれる、三井住友VISAカードのイメージキャラクターを務めています。
過去にVISAガールを務めた方は全員トップスターになっているため、近いうちにトップスターになる確率が1番高い2番手と言えるでしょう。

雪組から花組に組み替えしてから、グングンと男役度を上げているひとこちゃん!

2番手羽根を背負い、トップスターへの道が一気に近づいてきた感じがしています。

月組:鳳月 杏さん

鳳月ほうづき あんさんは92期で、現月組トップスターの月城つきしろ かなとさんは95期となります。
月城 かなとさんよりも上級生のため、2番手羽根を背負ってはいますが“上級生2番手”ということになるかと思います。

月組内でトップスターに近い候補の一人は、風間かざま 柚乃ゆのさん(100期)です。
しかし風間 柚乃さんは月城 かなとさんより5期下のため、風間 柚乃さんの今後の成長速度や月城 かなとさんの退団時期などにより変動があるかもしれません。
鳳月 杏さんは、短期で務める可能性もなくは無いかもしれない…と言ったところになるようです。

男役のプロと言っても過言ではないほど“宝塚の男役”を熟知し極めているスターなので、どのような形であっても長く宝塚にいて欲しいと強く願っています!

雪組:朝美 絢さん

朝美あさみ じゅんさんは95期で、現雪組トップスターの彩風あやかぜ 咲奈さきなさんは93期となります。
2番手羽根も背負っており、順当に行けば次期トップスター候補ではないかと言われています。

これまでの過程では、いわゆる“路線スター”という扱いではなかったように思います。
しかし月組から雪組への組替え後に、実力も人気も爆発的に伸ばして行き、現在の“正2番手”という地位を勝ち取ったという印象です。

一つ気になるのは、朝美 絢さんの95期は既にトップスターに3人就任し、トップ娘役も3人就任しているという点。
71期から4人がトップスターに就任したのを最後に、同じ期から3人以上のトップスターを就任させていないため少し気になる要素ではあります。

努力の上に重ね続けてきた歌・芝居・ダンス共に実力があり、とても人気のあるスターなので、真ん中に立つことを熱望しています!

星組:瀬央 ゆりあさん

瀬央せお ゆりあさんは95期で、現星組トップスターである礼 真琴さんの同期となります。
いわゆる“路線スター”という扱いではありませんでしたが、バウ主演・東上主演と経験する中で実力を付けてきました。
現星組では、星組の御曹司である礼 真琴さんを十分に支えるだけでなく、自らも光り輝くスターとして活躍中です。

しかし、まだ2番手羽根を背負っていないことに加え、カレンダーや月刊誌での扱いがやや微妙なため、“正2番手”という扱いではないようです。
更には、月組からトップスター候補であるあかつき 千星ちせいさん(98期)が2022年5月27日付で星組に異動となったため、今後の行方が気になるところです。

公演の度に男役の色気が深まっており、人徳もある素晴らしい人間性を持っているので、良い立場でいつまでも活躍し続けていて欲しいです!

宙組:桜木 みなとさん

桜木 みなとさんは95期で、現宙組トップスターの芹香せりか 斗亜とあさんは92期となります。
2番手に就任して大劇場公演を迎えていないため2番手羽根はまだですが、順当に行けば次期トップスター候補ではないかと言われています。
桜木みなとさんが宙組トップスターに就任した場合、初めての宙組生え抜きトップスターとなるため、宝塚ファンから多くの期待を寄せられています。

しかし、2023年6月に芹香斗亜さんがトップスターに就任したばかりのため、まずは2番手としての経験をこれから積んでいく段階となります。
宙組に決して欠かせない男役スターとして、着実に足跡を残してきた桜木みなとさんの今後の活躍に期待しましょう!

下級生の頃から常に大きな存在感を示してきたずんちゃん。

これから2番手として様々な役柄に挑戦していきながら、さらなる魅力を発揮されるのが楽しみでなりません✨

まとめ

今回は、“2番手”についてご紹介いたしました。
通常2番手は“次期トップスターに1番近い人物”という立場ですが、トップスターとは違い宝塚歌劇団が正式に提示している役職ではありません。
そのため、トップスターにならずに2番手で退団していく場合も少なくありません。

2番手には、トップスターになる2番手(正2番手)とそうでない2番手(別格2番手・上級生2番手)が存在しています。
2番手の役割としては、お芝居で悪役や主役の親友などの重要な役を演じるだけでなく、トップスターの技術面や精神面での支えとなる立場でもあります。

トップスターにならずに“2番手退団”となる場合もありますが、あくまでも退団を決意するのは生徒自身
2番手という立場は誰もがなれる立場ではないため、2番手として活躍できることは素晴らしいことなのです。

 

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