【初心者向け】宝塚歌劇団 2番手とは?

アイキャッチ 宝塚歌劇団 2番手とは? 宝塚歌劇の基本

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宝塚の舞台でトップスターの次に活躍する男役のことを、“2番手”と呼びます。

2番手ということは、次にトップスターになれるの?

2番手からトップスターになる人もいれば、トップスターにならずに退団する人もいます。

“2番手”はトップスターとは違い、宝塚歌劇団が正式に提示している役職ではありません。

トップスターになる2番手とそうでない2番手がいるなど少々複雑な立場となり、ファンの中で物議を醸すことも。

このページでは、2番手の役割や“正2番手”と“別格2番手”の違い、現在の各組2番手の立ち位置などについてご紹介いたします!

2番手スターとは?

トップスターの次に活躍する男役のことを“2番手スター”と呼び、宝塚ファンからは“2番手”と呼ばれています。

トップスター候補として育成するための「スターシステム」に則ると、(通常は)トップスターという立場を引継ぐのは2番手の男役。

そのため2番手は、“次期トップスターに1番近い人物”ということなります。

【スターシステム】については、コチラの記事でご紹介しています。

以前は2番手になったらトップスターになれる、という流れが通例でした。

しかし昨今ではその限りではなく、トップスターにならずに2番手で退団していく場合も少なくありません。

一言で2番手と言っても、トップスターになることが保証されている立場ではないということになります。

なお娘役については、トップ娘役の次に出番の多い娘役のことを“娘役2番手”と呼ぶこともありますが多くはありません。

今回は、2番手の役割・種類・期間・退団などについてご紹介いたします。

現在の各組2番手もご紹介いたしますのでお楽しみに!

 

2番手の役割

“2番手”の舞台での役割としては、お芝居では主役に対峙する悪役主役の親友役を演じることが多くなります。

ショーではトップスターと対になって踊ったり、フィナーレの群舞でトップスターが捌けた後にセンターで踊ったり。

一本物のフィナーレで銀橋を渡りながら歌う“歌唱指導”と呼ばれる場面を担当するのも、基本的には2番手の役割です。
(フィナーレの構成により、3番手以下が務める場合もあります。) 

更には、トップスターの技術面や精神面での支えとなる立場でもあります。

また、最近ではトップスターの休演により急遽2番手が代役として務めることも。

過去には事例があったようですが、ここ数年間はトップスターの代役公演は行われていなかったため、今後はそのような対応もされていくのかもしれませんね。

その場合、2番手以下の生徒が順に繰り上がり代役を務めることになります。

トップスターになるといわゆる王子様役やヒーロー役が多くなり役の幅が狭くなるため、2番手時代に悪役などの濃い役柄を経験します。

2番手の期間は、トップスターの元で組のトップや男役としての在り方などを勉強できる重要な時。

2番手時代を十分に充実させることで、トップスターへ就任する前の準備期間となる役割も持ち合わせています。

 

代表的な役柄

ここで、主に2番手が務める代表的な役柄をご紹介いたしましょう。

『ロミオとジュリエット』のティボルトは、2番手と3番手またはトップと2番手など二人の生徒が役替わりで演じることの多い特殊な役です。

『オーシャンズ11』のラスティ・ライアンは、主人公の右腕で親友役というストーリーの中でも互いを輝かせる重要な役どころ。

主役に絡む悪役や親友役など、作品になくてはならない重要な役柄を演じることが2番手の役割でもあります。

 

2番手の期間

2番手としての期間は、約2〜3年程度が多いようです。

2番手に就任するタイミングとしては、新トップスターが就任すると同時に2番手となる場合がほとんど。

“2番手期間は長い方が良いトップスターになる”と言われているほど、とても重要な期間となります。

これまでの2番手の最長は、現宙組トップスターの芹香 斗亜せりか とあさん。

宙組トップスターに就任するまでの約9年間、花組と宙組で2番手を務めました。

芹香斗亜さんは、2007年に93期生として宝塚歌劇団に入団し星組に配属。

2012年4月に花組へと組替えし、研9になる年の2015年3月に2番手スターに就任しました。

更には研11の2017年10月に宙組へ組替えとなり、研17となる2023年7月まで2番手を務めました。

2度の組替えは特別珍しいことではありませんが、2番手として2つの組を経験するというのはあまり無いことのようです。

2番手を長く務めてきたことで生まれる余裕や色気が深まり、誰よりも充実した2番手期を過ごしました。

芹香斗亜さんの詳しい情報は、コチラの記事でご紹介しています。

 

正2番手と別格2番手

天秤

2番手という立場は劇団が正式に提示している役職ではないため、これまでの事例や様々な判断材料を以てファンが呼んでいる呼び名です。

実は2番手の中でも、立場の異なる種類があります。

ここでは“正2番手”と“別格2番手”について、それぞれご紹介いたします。

正2番手

“正2番手”は、一言で言うと“トップスターに最も近い人物”のことを指します。

正2番手であることを判断する大きな材料としては、下記の項目に当てはまる人物。

正2番手となる判断材料
  • バウ公演の主演
  • 東上公演の主演
  • 月刊誌(歌劇・グラフ)の表紙
  • 公演ポスターの写真の大きさや位置
  • スターカレンダーに掲載(トップスター・トップ娘役・2番手・3番手)
  • パーソナルカレンダーに掲載(トップスター・正2番手)
  • パレードの階段降りで2番手羽根を背負う

前提としてこれらの項目をすべて揃えている必要があります。

最終的に“正2番手”であることが(ファンの中で)確定されるのは、パレードで“2番手羽根”を背負って大階段を降りてきたとき

2番手羽根は、トップスターの次に大きな大羽根です。

しかし2番手羽根を背負って大階段を降りてきたとしても、トップスターになることが見えている“正2番手”とそうではない“別格2番手”が存在します。

別格2番手については、次の項目でご紹介します。

別格2番手(上級生2番手)

2番手は本来、次期トップスター候補であるとファンは認識しがちです。

しかし厳密には劇団が提示している役職ではないため、2番手だったとしてもトップスターにならずに退団していく場合も。

トップスターにならない2番手のことを、“別格2番手”または“2番目”などと呼びます。

トップスターより上級生である場合には、“上級生2番手”と呼ばれることもあります。

実は正2番手としての最終的な判断材料であるはずの“2番手羽根を背負った”というだけでは、正2番手との見分けが付きません。

そのため、その生徒のそれまでの経験や前例などから推測するしかないようです。

しかし、それを推測するには宝塚ファンを長年続けていたとしても中々難しいこと。

次期トップスター候補としての正2番手だと期待していたのに2番手で退団を発表された際には、ファンの中で大変な物議を醸すことも。

過去に初めてそのような対応がなされた際には、劇団が大きな非難を浴びたようです。

しかし最近では嬉しいニュースも!

上級生2番手と言われていた月組の鳳月 杏さんが、月組の次期トップスターに就任されます。

過去にも、上級生2番手だった方が別組への組替えによる落下傘という形でトップスター就任となった事例も。

その時代により組内の状況は変わるため、運良くタイミングが合えば別格2番手からトップスターになることもあります。

 

2番手退団

胡蝶蘭

正2番手となった後、トップスターにならずに退団することを“2番手退団”と言います。

ファンの中にはトップスターになることへの期待を裏切られてしまったという思いから“2番手切り”と言う人も。

しかし“2番手羽根を背負えばトップスターになれる”というのは通例ではないようです。

過去の事例等から「これだけトップになれるカードが揃っていたのに劇団はトップにさせなかった」という法則を探したくなるのが、一種のファン心なのかもしれません…。

しかし、あくまでも退団を決意するのは生徒自身

元々トップスターに就任する予定だったかどうか、生徒自身がトップスターを目指していたかどうかは分からないため、2番手切りという言い方は良くないとされています。

 

2番手退団の例

白い花束

最近の例として、下記の3名が正2番手となった後、2番手のまま退団しました。

3名の共通点としては、トップスターが下級生であったこと、スター路線から外れていたことなど。

下級生であるトップスターを支えるという意味も含む“上級生2番手”と呼ばれる立場でした。

  • 美弥るりか(元月組2番手スター) 2019年6月9日付けで退団
  • 瀬戸かずや(元花組2番手スター) 2021年7月4日付けで退団
  • 愛月ひかる(元星組2番手スター) 2021年12月26日付けで退団

ファン心としては、たとえ“上級生2番手”だったとしても、2番手羽根を背負ったからには期待してしまうもの…。

組内の状況は時代により異なるため、2番手羽根が大きな判断材料にはならないのが宝塚の人事です。

宝塚歌劇は「スターシステム」による人材育成を行っているため、元々路線ではないまたはスター路線から外れた時点でトップスターへの道は厳しくなります。

更には誰をどこの組のトップスターにするかなど、大きなスケジュールは数年前から調整されているため、特に研10を超えてからの切り返しは難しくなるようです。

 

美弥るりかさんの退団

特にファンの間に衝撃が走った記憶が新しいのは、元月組2番手スター美弥るりかさんの退団。

退団後となる2020年3月『CREA』の記事に、2番手時代の葛藤やトップスターに期待するファンへの思いなどを語られていました。

りょうちゃん(珠城)がトップとしてスタートするときに、「自分がいることで彼女が負担にならないかな」とか、「月組のみんなはどう思うのかな」といったことを考えて、辞めるべきかどうかすごく悩みました。

(略)

――「美弥さんにトップスターになって欲しい。羽根を背負った姿を見たい」という方もたくさんいらしたと思うのですが?

(略)

「トップになりたいと思わなきゃダメだ」と思った時期もありましたが、それはもしかすると、自分に思わせていたという感じだったのかも知れません。応援してくださる皆さんのお気持ちは本当にすごく嬉しかったです。でも、今はこれで良かったと思っています。

引用元:https://crea.bunshun.jp/articles/-/25613?page=4

羽根を背負って欲しいというファンの気持ちも考え、決してご本人の思いだけで舞台に立っているわけではないということですよね。

トップスター同様に2番手という立場も誰もがなれる立場ではないので、2番手として大活躍されたことは素晴らしいことだと思います。

サヨナラショー

ステージ

前楽と千秋楽の本公演後に、『サヨナラショー』という20〜30分程度のショーが上演されることがあります。

サヨナラショーは、特にこれまで宝塚歌劇団や組に大きく貢献してきた生徒に与えられるハナムケのようなもの。

サヨナラショーが行われるのは基本的にはトップスターとトップ娘役の退団時ですが、2番手の退団時にも上演されます。

最近2番手で退団となった生徒でサヨナラショーを行ったのは、元月組2番手スターの美弥るりかさんと、元星組2番手スターの愛月ひかるさん。

元花組2番手スターの瀬戸かずやさんは元トップ娘役の華優希さんと同時退団となったため、華優希さんのサヨナラショーと同時に行われた形となりました。

通常のサヨナラショー同様に、舞台の真ん中でトップスターのように輝く場面や、これまでの貢献への敬意と男役の集大成となる素敵なショーとなりました。

各組の2番手と組内での立ち位置(2024年3月現在)

各組の2番手スターについて、現在の組内での立ち位置などをご紹介いたします。

記事内容の性質上、ファンの中での推測や私自身の憶測も含まれてしまいますが、どうかご容赦いただければと思います。

花組:永久輝 せあさん

永久輝 とわき せあさんは97期で、現花組トップスターの柚香ゆずか れいさんは95期となります。

2023年7月の花組公演 『鴛鴦歌合戦 / GRAND MIRAGE!』より2番手羽根を背負いました。

永久輝せあさんは“VISAガール”と呼ばれる、三井住友VISAカードのイメージキャラクターを務めています。

過去にVISAガールを務めた方は全員トップスターになっているため、おそらく順当に花組のトップスターになるのではと言われてきました。

そして2024年5月27日付で、花組トップスターに就任することが発表されました!

雪組から花組に組み替えし、グングンと男役度を上げてきたひとこちゃん!

2番手羽根を背負った時から、トップスターへの道を順調に歩んできました。

月組:鳳月 杏さん

鳳月ほうづき あんさんは92期で、現月組トップスターの月城つきしろ かなとさんは95期となります。

月城かなとさんよりも上級生のため、2番手羽根を背負ってはいますが“上級生2番手”と言われてきました。

そのため、トップスターに就任する可能性が確実ではないとみている方も多かったように感じますが…

2024年7月8日付で月組トップスターに就任することが発表されました!

これには多くの宝塚ファンが歓喜を上げ、SNSなどではたくさんの祝福メッセージが目に留まりました^^

ちなつさんは、男役のプロと言っても過言ではないほど“宝塚の男役”を熟知し極めている大スター

包容力のあるトップスターとして、新たな魅力を発揮されるのが楽しみです!

雪組:朝美 絢さん

朝美あさみ じゅんさんは95期で、現雪組トップスターの彩風あやかぜ 咲奈さきなさんは93期となります。

2番手羽根も背負っており、順当に行けば次期トップスター候補と言われています。

これまでの過程では、いわゆる“路線スター”という扱いではなかったように思います。

しかし月組から雪組への組替え後に、実力も人気も爆発的に伸ばして行き、現在の“正2番手”という地位を勝ち取ったという印象です。

彩風咲奈さんが2024年10月13日付けで退団を発表されているため、次期の発表を待っているというところです。

努力の上に重ね続けてきた歌・芝居・ダンス共に実力があり、とても人気のあるスターなので、真ん中に立つことを熱望しています!

星組:暁 千星さん

暁 千星さんは98期で、現星組トップスターである礼 真琴さんは95期となります。

2024年星組公演『RRR×TAKA”R”AZUKA〜√Bheem〜 / VIOLETOPIA』より2番手羽根を背負いました。

暁千星さんは2013年に月組に配属される前、音楽学校時代から98期の首席として大変注目されてきました。

2022年の月組から星組への組替えはトップになるための組替えだと言われていたため、順当にいけば星組のトップスターになるのではないでしょうか。

礼真琴さんの任期は通常より長めになるのではと予想されているので、もうしばらくは2番手として楽しませてもらえそうですね。

月組時代から成長が著しかったありちゃんですが、星組に組替えしたことで更なる色気をまとい”男役度”をグングン上げています♡

宙組:桜木 みなとさん

桜木 みなとさんは95期で、現宙組トップスターの芹香せりか 斗亜とあさんは92期となります。

2番手羽根も背負っており、順当に行けば次期トップスターになるのではと言われています。

桜木みなとさんが宙組でトップスターに就任した場合、初めての宙組生え抜きとなるためファンから多くの期待を寄せられています。

しかし、2023年6月に芹香斗亜さんがトップスターに就任したばかりのため、まずは2番手としての経験をこれから積んでいく段階となります。

宙組に決して欠かせない男役スターとして、着実に足跡を残してきた桜木みなとさんの今後の活躍に期待です!

下級生の頃から常に大きな存在感を示してきたずんちゃん。

これから2番手として様々な役柄に挑戦していきながら、さらなる魅力を発揮されるのが楽しみでなりません✨

まとめ

今回は、“2番手”についてご紹介しました。

通常2番手は“次期トップスターに1番近い人物”という立場。

しかし、トップスターとは違い宝塚歌劇団が正式に提示している役職ではありません。

そのためトップスターにならずに2番手で退団していく場合も。

正2番手や別格2番手(上級生2番手)など、複雑な意味合いも持ち合わせるのが2番手という立場です。

トップスターにならずに“2番手退団”となる場合もありますが、あくまでも退団を決意するのは生徒自身

2番手という立場は誰もがなれる立場ではないため、2番手として活躍できることは素晴らしいことなのです。

 

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